
【2025年6月施行】熱中症対策の義務化とは?企業がやるべき対策・罰則を徹底解説
2025年6月1日、労働安全衛生規則が改正され、職場における熱中症対策が罰則付きで義務化されました。
対象となる作業を行う企業は、報告体制の整備や対応手順の作成など、具体的な対策を講じなければなりません。違反した場合は、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
この記事では、義務化の内容、対象となる条件、罰則、そして企業が取るべき具体的な対策について、最新の統計データとともに徹底解説します。
熱中症対策の義務化とは?2025年6月施行の改正内容
労働安全衛生規則の改正で何が変わった?
これまで職場における熱中症対策は、厚生労働省のガイドラインに基づく「努力義務」に留まっていました。しかし、2025年6月1日に施行された改正労働安全衛生規則により、熱中症対策が罰則付きの法的義務として明確化されました。
この改正の背景には、職場での熱中症被害が深刻化している現状があります。
厚生労働省の発表によると、2024年の職場における熱中症による死傷者数(死亡および休業4日以上)は1,257人となり、統計を取り始めた2005年以降で過去最多を記録しました。死亡者数も31人にのぼり、3年連続で30人を超えています。
出典:厚生労働省「令和6年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」
特に深刻なのは、死亡災害の多くで「初期対応の遅れ」や「発見の遅れ」が原因となっていることです。2024年の死亡災害31件のうち、発症時・緊急時の措置の確認や周知ができていなかった事例が20件、WBGT(暑さ指数)の把握ができていなかった事例が24件(約77%)もありました。
こうした状況を受け、厚生労働省は「症状の早期発見」と「迅速かつ適切な応急処置」を重視した規則改正を行い、企業に対して具体的な対策を義務付けることになったのです。
いつから施行された?
改正労働安全衛生規則の公布日と施行日は以下のとおりです。
| 項目 | 日付 |
|---|---|
| 公布日 | 令和7年(2025年)4月15日 |
| 施行日 | 令和7年(2025年)6月1日 |
出典:厚生労働省「労働安全衛生規則の一部を改正する省令(厚生労働省令第57号)」
つまり、2025年の夏を迎える前に義務化がスタートしています。対象となる企業は、すでに対策を講じていなければならない状況です。
義務化の対象となる作業条件

熱中症対策の義務化は、すべての企業・すべての作業に適用されるわけではありません。以下の条件を満たす「熱中症を生ずるおそれのある作業」を行う場合に、対策が義務付けられます。
WBGT28度以上または気温31度以上
対象となる環境条件は、以下のいずれかです。
- WBGT(暑さ指数)が28度以上
- 気温が31度以上
【WBGTとは?】
WBGT(Wet Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)とは、気温だけでなく湿度、輻射熱(日射など)、気流を総合的に考慮した「暑さ指数」のことです。同じ気温でも湿度が高ければ熱中症リスクは上がります。厚生労働省は、日本産業規格(JIS)に適合したWBGT測定器を用いて、作業場ごとにWBGTを把握することを推奨しています。
連続1時間以上または1日4時間超の作業
環境条件に加えて、以下の作業時間条件のいずれかを満たす場合が対象となります。
- 連続して1時間以上の作業
- 1日の合計が4時間を超える作業
対象となる業種・作業の例
上記の条件を踏まえると、以下のような業種・作業場が義務化の対象となる可能性が高いと言えます。
| 業種・作業場 | 想定される状況 |
|---|---|
| 建設現場 | 屋外作業、直射日光下での長時間作業 |
| 製造業・工場 | 空調が効きにくい大空間、熱源の近く |
| 倉庫・物流センター | 空調設備がない、または不十分な環境 |
| イベント会場 | 屋外・仮設テント内での設営・運営 |
| 警備業 | 炎天下での長時間立哨 |
| 農業 | 屋外での農作業 |
実際、2024年の熱中症による死傷者数を業種別に見ると、製造業(235人)と建設業(228人)で全体の約4割を占めています。
出典:厚生労働省「職場における熱中症予防情報」
企業に義務付けられる3つの対策

改正労働安全衛生規則(第612条の2)により、対象となる作業を行う事業者には、以下の3つの措置が義務付けられています。
①報告体制の整備
熱中症のおそれがある労働者を早期に発見し、報告できる体制を整備することが求められます。具体的には、以下の体制を事業場ごとにあらかじめ定める必要があります。
- 熱中症の自覚症状がある作業者が報告できる連絡先・担当者
- 熱中症のおそれがある作業者を見つけた者が報告できる連絡先・担当者
厚生労働省は、報告体制に加えて以下の取り組みも推奨しています。
- 職場巡視による積極的な把握
- バディ制(2人1組)の採用
- ウェアラブルデバイスの活用
- 定期的な双方向連絡
②重篤化防止のための手順作成
熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置について、具体的な内容と実施手順を事業場ごとにあらかじめ定める必要があります。
【手順に含めるべき内容】
- 作業からの離脱の判断基準と方法
- 身体の冷却方法(涼しい場所への移動、体を冷やす方法など)
- 水分・塩分の補給
- 医師の診察または処置を受けさせる判断基準
- 緊急連絡網(連絡先、担当者)
- 緊急搬送先(医療機関)の連絡先と所在地
③関係作業者への周知
上記①②で定めた体制や手順を、関係作業者に対して周知することが義務付けられています。
【周知の方法例】
- 朝礼・ミーティングでの説明
- 社内掲示板への掲出
- マニュアル・手順書の配布
- 社内メール・チャットでの共有
- 労働衛生教育の実施
義務化に違反した場合の罰則

6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金
今回の義務化は、労働安全衛生法第22条に基づくものであり、罰則が設けられています。
対策を怠った場合、事業者には以下の罰則が科される可能性があります。
| 対象 | 罰則 |
|---|---|
| 違反した者 | 6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金 |
| 法人 | 50万円以下の罰金 |
また、都道府県労働局長や労働基準監督署長から、作業の停止命令(使用停止命令)を受ける可能性もあります。
損害賠償リスク・レピュテーションリスクも
罰則だけでなく、以下のリスクも考慮する必要があります。
【民事上の損害賠償リスク】
労働契約法第5条では、使用者に対して「安全配慮義務」が課されています。熱中症対策を怠った結果、労働者が死亡したり重篤な後遺症を負ったりした場合、企業は損害賠償責任を問われる可能性があります。
【レピュテーション(社会的評価)リスク】
義務化された対策を怠り、重大な労働災害が発生した場合、企業の社会的信用は大きく損なわれます。採用活動や取引先との関係にも深刻な影響を与えかねません。
義務化対応だけでは不十分?予防対策も重要
改正規則で義務付けられた「報告体制の整備」「手順作成」「周知」は、熱中症が発生した後の対応に重点を置いたものです。
しかし、本当に重要なのは熱中症を発生させないことです。厚生労働省も、義務化された措置に加えて、予防対策を講じることを強く推奨しています。
厚生労働省が推奨する予防対策4つの柱
厚生労働省の「職場における熱中症予防基本対策要綱」では、以下の4つの観点から予防対策を行うことが示されています。
| 観点 | 主な対策例 |
|---|---|
| 作業環境管理 | WBGT値の低減、休憩場所の整備、冷却設備の設置 |
| 作業管理 | 暑熱順化、作業時間の短縮、水分・塩分の補給 |
| 健康管理 | 健康診断結果に基づく配慮、日常の健康状態の確認 |
| 労働衛生教育 | 熱中症の症状・予防法・緊急時対応の教育 |
「涼しい休憩場所の確保」が重要

2024年の死亡災害事例を分析すると、多くのケースで「高温環境下での作業継続」や「適切な休憩が取れていない」ことが原因となっています。
厚生労働省のガイドラインでも、涼しい休憩場所の確保が重要な予防対策として挙げられています。特に以下のような現場では、休憩場所の冷却環境を整えることが有効です。
- 建設現場(簡易事務所・休憩所の冷房)
- 空調が効きにくい工場・倉庫
- 仮設テント内のイベント会場
休憩場所の冷却に業務用スポットクーラーという選択肢

簡易事務所・休憩所・倉庫の冷房に
建設現場の簡易事務所や休憩所、倉庫内の休憩スペースなど、通常のエアコンが設置しにくい場所では、移動式のスポットクーラーが活躍します。
ただし、一般的な小型スポットクーラーでは、広い空間や断熱が不十分な場所では冷却能力が足りないケースも少なくありません。そうした現場には、業務用の大型移動式エアコンが適しています。
「冷暖砲白サイくん」の特徴
業務用スポットクーラーとしておすすめなのが、株式会社大同機械が開発・製造する「冷暖砲白サイくん」です。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 業界最大10馬力 | 最大130m³/minの大風量で、20m先まで風速1m/sの風を届けられる |
| 広範囲をカバー | 1台で約60畳(200㎡)の空間を冷却可能 |
| 移動がラク | 室内機・室外機一体型でキャスター付き。分離も可能 |
| 自動排水機能 | ドレンパンの水をポンプで自動排水。20m先まで排水可能で床を汚さない |
| 設置工事不要 | 三相200V(30A)のコンセントに繋ぐだけ |
| 冷暖両用 | 冬場は暖房としても使用可能 |
一般的に、風速1m/sで体感温度が約1℃下がると言われています。大風量で広い休憩スペースでも涼しい環境を作ることができます。
こんな場面で活躍しています

- 建設現場:簡易事務所・休憩所の冷房、日陰での送風
- 倉庫・工場:休憩スペースや作業エリアの冷却
- イベント会場:テント内・仮設スペースの冷房
建設現場では、ロングスパンエレベーターでの搬入も可能。室内機と室外機を分離すれば、乗用エレベーターでの搬出もできるため、工程の変化に合わせた移設もスムーズです。
レンタルなら導入コストを抑えられる
「業務用の大型クーラーは導入費用が高いのでは?」と懸念される方も多いかもしれません。そんな場合は、レンタルでの導入がおすすめです。
レンタルなら、熱中症対策が必要な夏季(6月〜9月)だけ借りることも可能。購入するよりも初期投資を抑えながら、必要な時期に必要な台数を確保できます。
まとめ|2025年6月から熱中症対策は「義務」に
2025年6月1日から、職場における熱中症対策が罰則付きで義務化されました。
【義務化のポイント】
- 対象条件:WBGT28度以上または気温31度以上で、連続1時間以上または1日4時間超の作業
- 義務付けられる対策:①報告体制の整備、②重篤化防止の手順作成、③関係者への周知
- 罰則:6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金
義務化された対策は「熱中症が発生した後の対応」が中心ですが、本当に大切なのは熱中症を発生させないことです。
水分補給の徹底に加えて、涼しい休憩場所を確保することで、熱中症リスクを低減できます。簡易事務所や倉庫など通常のエアコンが使いにくい場所には、業務用スポットクーラー「冷暖砲白サイくん」のレンタル導入がおすすめです。
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参考資料・引用元
- 厚生労働省「令和6年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」
- 厚生労働省「職場における熱中症予防情報」
- 厚生労働省「労働安全衛生規則の一部を改正する省令」
- 厚生労働省「職場における熱中症対策の強化について(パンフレット)」

